Magic hour

空に手を翳して

Kappaを観て考えたあれこれ

こんばんは。わたぐもです。

書きたいと思っていたことを形にしてくぞウィークです。

 

2021年6月に観に行った空想科学劇『Kappa』。

kappa-stage.com

内容が個人的に刺さり、色々な事を考えました。

それを書き残しておいたものを投稿します。ガチのメモです。

本当は詳しめのあらすじとかそういう話を交えたほうが親切なのはわかっていますが、Kappa 感想 とかで検索してもらえれば親切な方の記事に行き着くと思うので、気になる方はそちらをあたってください…!笑 

 

それでは。

 

 

原作を読んでいってよかったなと個人的には思った (開演10分前に青空文庫で原作を読み終えた人間)

 

人間は環境を自分達に合わせようとする(ニュアンス)という印象的なセリフ①

これはあまり劇中において大事なセリフではないかもしれないけれど、個人的に印象に残った

今持続可能な社会を作ろうとしているのだって、突き詰めれば人間が人間(後の世代)のためにやろうとしてる部分が大きいよね 

それでも私は自分たちがやってきてしまった環境破壊をどうにかしようとする人間の姿勢は嫌いではなくて 私もできることをしたいなという思い

 

 

横たわる優生思想

 

優性・劣性ではなく顕性・潜性 

これわりと最近表現の仕方が変わったけれど、今までも出にくいって意味の「劣」だと私は思っていた。と同時に、人間のベースに意外と優生思想は蔓延っているのだと思いながら表現切り替えの時期を過ごしていた記憶

 

「健全なる男女の河童よ!不健全な男女の河童と結婚せよ!」印象的なセリフ②

健全・不健全での線引きという点でパッと見は人間より酷いように見えるが、人間はその線引きを完全になくして考えられているか?差別はなぜ起きる?

そのあたりを曖昧にする人間と、開けっ広げに宣言する河童との対比 

はじめ、健全なる河童×不健全なる河童の混合じゃ不健全な河童をいなくならせるのは無理ではと思ったが、メンデルの法則的に見た目上は4分の1に減らせるってことか

でもそんなに高らかに叫んで排除したそうなのに不健全を直接排除しないのは河童道的にアウトだから…?

不健全をなくしたい思いが強いようだけれど、不健全ってそもそもなに?という…

 

生まれたい/生まれたくないを子供が決められる状況は人間界にはないけれど、河童界にはある

親と子供が対等な感じがした

今人間ができる出生前診断は、親の判断材料にしかならない

 

死ぬ権利は日本ではほぼ受け入れられてないけれど、世界では認められているところもある スイスとか

対動物(人間以外)、たとえばペットに焦点を当てると、日本は宗教的に安楽死をあまり良しとしてない 最後まで緩和ケア等で少しでも長く生かそうとする

→長く生きることが幸せであるという考え

一方アメリカでは、例えば大統領が飼っていた犬が病気で苦しんでいる場合に安楽死させたことが賞賛されたりする

→苦しむ時間を減らすことが幸せであるという考え

 

河童は良くも悪くも合理的 私は好きとまではいかないけどそんな河童が嫌いではない

人間は良くも悪くも感傷的(劇中の言葉を借りれば) 

そういう曖昧さや矛盾する面を愛せるか?というところが人間を理解する上での課題…?

 

23号がする河童の話はおそらく病気の人間の戯言だと思われているのだろうけれど、人間がオカルトだの怪奇現象だの言っていることだって本当は現実に"ある"のかもしれないし、河童の世界が"ある"可能性だってもちろんある

だから真実がどこにあるのかわからない終わり方をするのがやっぱり面白いし、何を考えるかが受け取った側に委ねられているところがいいなあと思った 

"狂ってる"というのはあくまで自分(や周囲)が決めたことであって、絶対的ではない

 

青木さん(バッグ)の「後悔しないようにね」に60年人間を見送ってきた河童の深みがあった また戻ってきてしまう人間を幾度となく見てきたのだろうか

 

 

織山さんの踊りが本当に魅力的だった

  • 音が織山さんの身体に乗り移っているかのような一体感だった
  • 指先にまで織山さんの意志が伝わっているようで、繊細かつ力強かった
  • 精神的に参らないのか、声も含めてどこかでぷつんと切れてしまわないか心配になるくらい心を揺さぶられる表現がそこにあった
  • 怒りや葛藤がこもっていそうな場面ではこちらの胸もグッと潰されそうだった 握り潰されるというより、不意打ちでハンマーが殴打してくる感じ 面で潰される

 

 

冒頭の23号、瞳への生気の宿り方が冷たくて良かった

河童の世界の発音を教わっている23号かわいかったし、拙い河童語が上達していく過程の表現が滑らかだった

新しい言語を習得する時って、ネイティブの人にはこう見えてるんかもしれんと思った(作品と関係ない)

誰かが誰かの権力下にいるみたいな話のところで、クイクイとか人名がたくさん出てくるんだけれど、そのたびに動作がついているのがかわいかったし全員がやってるのがおもしろかった

「労働者」を表す動作はなぜあんなにウェーブしてたのだろうか 翻弄される象徴?

23号、感情の切り替えがよくあんなにスムーズにできるなあって度肝抜かれた

椅子にすっぽり入る23号かわいい

お顔がかわいい

 

客席側と逆を向くシーンの23号の背中が美しかった

バッグ(青木くん)声がかわいい トランペット青木!

 

 

あと哲学者みたいな役のおじさん(マッグ)、チャーミングだった

そして歌が上手くてパワフルで好き

ピストルで死ぬ時大きい音でやらないんだなあと意外に思った

 

人は孤独で、結局どの世界に移動しても疎外感はあるんだろうな

隣が青く見えて移動するんだけれどそれをまた繰り返すのだと私は解釈した

 

人間は法律を重要視するけれど、河童はあまり気に留めてなかった そこも対比 法律で決まっていればそれが絶対みたいな思想が河童には無さそう

自由なようで自由じゃない人間

精神疾患患者のことを劣っているとしがちな人間世界(社会)を、本当にそうか?と揺さぶっているような感じがした

 

 

観に行けて良かった!

 

 

 

2021/08/17 わたぐも